【図解】r>gって何?なぜ投資家は金持ちになり続けるのか、FPが分かりやすく解説

はじめに 衝撃の不等式が示す現実

「なぜ金持ちはどんどん金持ちになるのか?」

この素朴な疑問に、経済学者トマ・ピケティが明確な答えを出しました。

r > g

たった5文字の不等式が、資本主義の本質を表しています。

2024年、日本のGDP成長率は0.1%。 一方、株式投資のリターンは20%超

この差が、格差を生み続けているのです。

第1章 r>gとは何か

1.1 基本的な意味

r = 資本収益率(Return on Capital)
  投資や資産運用から得られる利益率

g = 経済成長率(Growth Rate)
  GDP成長率、つまり労働から得られる所得の伸び率

r > g が意味すること 資産運用で得られる富の成長速度が、働いて得られる富の成長速度を上回る

1.2 ピケティが証明した歴史的事実

【過去300年のデータ】
資本収益率(r):年率4-5%
経済成長率(g):年率1.6%

r > g の関係は歴史的にほぼ常に成立

唯一の例外は、第二次世界大戦後の1945-1980年。 この期間だけ、異常な高成長でg>rとなりました。

1.3 なぜこれが格差を生むのか

具体例で理解する

【Aさん:資産1億円を持つ投資家】
資本収益率5% → 年間500万円の不労所得

【Bさん:資産なしの会社員】
年収500万円、昇給率2% → 翌年510万円

10年後...
Aさんの資産:1億6,289万円(複利効果)
Bさんの貯金:1,000万円(年100万円貯金と仮定)

格差は6倍から16倍に拡大

第2章 2024-2025年の日本の現実

2.1 日本のr(資本収益率)

資産クラス2024年実績長期平均
日経平均+16.7%6.7%
S&P500(円建て)+35.9%10.2%
不動産(REIT)+8.5%5.5%
国債0.8%1.2%

平均的な資本収益率:5-7%

2.2 日本のg(経済成長率)

【日本のGDP成長率】
2024年(実績):0.1%
2025年(予測):1.0-1.6%
長期平均(過去20年):0.8%

2.3 衝撃的な格差

r(5%) > g(1%)

その差、なんと5倍!

これが、日本で格差が拡大し続ける構造的な理由です。

第3章 格差拡大のメカニズム

3.1 複利の魔力

【1,000万円を運用した場合】

年利5%で30年間運用
→ 4,322万円(4.3倍)

年収500万円が毎年1%昇給
→ 30年後の年収673万円(1.3倍)

資産の成長速度が圧倒的に速い

3.2 相続による格差の固定化

【世代を超えた格差の連鎖】

親世代:資産1億円
↓(r=5%で30年)
子世代に相続:4億3,220万円
↓(r=5%で30年)  
孫世代に相続:18億6,700万円

一方、労働者の家系は...
世代ごとにゼロからスタート

3.3 現代の日本の実例

株式投資家の場合

【2020年に1,000万円投資した人】
2020年:日経平均 27,444円
2024年末:日経平均 39,000円台

資産:約1,420万円(+42%)
配当込み:約1,500万円(+50%)

給与所得者の場合

【2020年の平均年収:436万円】
2024年の平均年収:458万円
上昇率:約5%(4年間で)

投資家の10分の1の成長率

第4章 なぜ投資家は有利なのか

4.1 税制の優遇

所得の種類税率
給与所得最高55%(累進課税)
株式譲渡益20.315%(一律)
配当所得20.315%(一律)

高所得者ほど、投資による所得の方が税金が安い!

4.2 時間と労力の違い

【労働収入を2倍にする】
必要な時間:労働時間を2倍
体力的限界:あり
年齢的限界:65歳前後

【投資収入を2倍にする】
必要な時間:変わらない
体力的限界:なし
年齢的限界:なし

4.3 インフレへの対応力

【2024年の物価上昇率:約3%】

現金・預金:価値が3%目減り
給与:1-2%の昇給(実質マイナス)
株式・不動産:物価に連動して上昇

第5章 普通の人がr>gを味方にする方法

5.1 小さく始める資産形成

【月3万円の積立投資(年利5%)】
10年後:465万円
20年後:1,233万円
30年後:2,497万円

30年で元本1,080万円が2.3倍に

5.2 つみたてNISAの活用

【2024年からの新NISA】
年間投資枠:360万円
非課税保有限度額:1,800万円
非課税期間:無期限

税金ゼロでr>gの恩恵を受けられる!

5.3 iDeCoで節税しながら資産形成

【年収500万円の会社員】
月2.3万円拠出
→ 年間約5.5万円の節税
→ 実質負担は月1.6万円

30年後(年利5%):1,900万円

第6章 r>gに立ち向かうための戦略

6.1 労働所得を資本所得に変換する

【収入の配分戦略】
収入の10%:緊急資金(現金)
収入の20%:投資(株式・投信)
収入の70%:生活費

10年続ければ、投資収入が発生
20年続ければ、投資収入>労働収入も可能

6.2 人的資本への投資

【スキルアップのROI】
プログラミング学習:年収100万円UP
英語力向上:年収50万円UP
資格取得:年収30-50万円UP

労働所得(g)を上げることも重要

6.3 複数の収入源を持つ

【収入の多様化】
本業:労働所得(g)
副業:労働所得(g)を増やす
投資:資本所得(r)
不動産:資本所得(r)

gとrの両方を獲得する

第7章 知っておくべきリスクと限界

7.1 投資のリスク

【株式投資の変動率】
日経平均:年間±20-30%
個別株:年間±50%以上も

短期的には大きな損失の可能性

7.2 格差社会の弊害

【r>gが続くと...】
・社会の分断
・消費の低迷
・イノベーションの停滞
・民主主義の危機

7.3 政策による是正の可能性

【考えられる対策】
・資産課税の強化
・金融所得課税の引き上げ
・ベーシックインカムの導入
・教育の無償化

ただし、実現は政治次第

まとめ r>gと上手に付き合う

押さえるべき5つのポイント

  1. r>gは歴史的事実(300年のデータが証明)
  2. 日本はr=5%、g=1%(格差拡大中)
  3. 投資しない人は置いていかれる
  4. 新NISAとiDeCoは最強の味方
  5. 小さく始めても30年後には大きな差

今すぐできる3つのアクション

【STEP1】証券口座を開設
→ 新NISA口座の開設(無料)

【STEP2】少額から開始
→ 月1万円からでもOK

【STEP3】継続する
→ 自動積立設定で放置

最後に 格差を嘆くより行動を

r>gという法則は、好むと好まざるとにかかわらず存在します。

この法則を知らない人は、ただ格差の犠牲者になるだけ。 知っている人は、この法則を味方につけることができます。

選択はあなた次第です。

労働だけに頼るのか。 それとも、資本の力も借りるのか。

月1万円でも、始めれば未来は変わります。 r>gの恩恵を受ける側に回りましょう。