はじめに なぜみんな「オルカン」って言うの?
新NISAが始まって、投資デビューする人が急増中。 そんな中、必ず聞くのが「オルカン買っとけば間違いない」という言葉。
「オルカン」とは「オール・カントリー」の略で、全世界の株式に投資するインデックスファンドのこと。
でも、本当に「最強」なのでしょうか? メリットだけでなく、デメリットも含めて、FP視点で徹底分析します!
第1章 全世界株式インデックスとは何か
1.1 基本的な仕組み
【全世界株式インデックスファンド】
世界中の株式市場に分散投資
↓
約3,000銘柄を保有
↓
1本で世界経済の成長を取り込む
1.2 代表的な商品比較
ファンド名 | 信託報酬 | 純資産総額 | 特徴 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 | 0.05775% | 4.5兆円 | 最安水準、最人気 |
SBI・V・全世界株式 | 0.0638% | 5,000億円 | ETF投資 |
楽天・全世界株式 | 0.0561% | 1兆円 | 楽天ポイント対応 |
たわらノーロード全世界株式 | 0.10989% | 300億円 | 老舗 |
ポイント 信託報酬は年率。100万円投資で年577円(eMAXIS Slim)
1.3 ベンチマーク MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
【構成要素】
先進国:88%
新興国:12%
対象国:約50カ国
構成銘柄:約3,000社
時価総額カバー率:85%
第2章 国別・セクター別の構成を深掘り
2.1 国別構成比率(2025年1月時点)
【トップ10カ国】
━━━━━━━━━━━━━━━━━
アメリカ 62.8%
日本 5.4%
イギリス 3.6%
カナダ 3.1%
フランス 2.8%
スイス 2.4%
ドイツ 2.1%
オーストラリア 2.0%
インド 1.9%
台湾 1.7%
━━━━━━━━━━━━━━━━━
その他:12.2%
注目:アメリカが6割以上!実質「アメリカ株式+α」
2.2 上位10銘柄の顔ぶれ
順位 | 銘柄名 | 比率 | 業種 |
---|---|---|---|
1 | Apple | 4.5% | IT |
2 | Microsoft | 4.1% | IT |
3 | NVIDIA | 3.8% | IT |
4 | Amazon | 2.5% | 消費 |
5 | Google(Alphabet) | 2.3% | IT |
6 | Meta | 1.5% | IT |
7 | Tesla | 1.2% | 消費 |
8 | Berkshire Hathaway | 1.1% | 金融 |
9 | TSMC | 0.9% | IT |
10 | Eli Lilly | 0.8% | ヘルスケア |
2.3 セクター別構成
【業種別割合】
情報技術:24%
金融:15%
ヘルスケア:12%
一般消費財:11%
資本財:10%
通信:8%
生活必需品:7%
エネルギー:5%
素材:4%
不動産:2%
公益:2%
第3章 全世界株式のメリット(光の部分)
メリット1 究極の分散投資
【分散の3要素】
1. 地域の分散:約50カ国
2. 銘柄の分散:約3,000社
3. 通貨の分散:複数通貨
結果:特定の国や企業の影響を最小化
メリット2 リバランス不要
【自動調整機能】
・成長した国の比率↑
・衰退した国の比率↓
・投資家は何もしなくてOK
例:中国の成長→自動的に比率UP
メリット3 低コスト
コスト項目 | 金額 |
---|---|
購入手数料 | 0円 |
信託報酬 | 年0.05775% |
信託財産留保額 | 0円 |
100万円投資で年間たった577円!
メリット4 長期で見れば右肩上がり
【過去のパフォーマンス】
過去30年:年平均約7%成長
過去20年:年平均約8%成長
過去10年:年平均約11%成長
メリット5 初心者でも失敗しにくい
- 銘柄選びの必要なし
- タイミングを計る必要なし
- 積立設定したら放置でOK
第4章 全世界株式のデメリット(影の部分)
デメリット1 実はアメリカ依存が強い
【リスクの集中】
アメリカ:62.8%
→ アメリカが下落すれば大打撃
→ 分散効果が限定的
デメリット2 為替リスクがある
【円高の影響】
1ドル150円→120円(20%円高)
→ 投資成績が20%マイナス要因
デメリット3 成長性は限定的
【リターン比較(過去10年)】
全世界株式:年11%
S&P500:年13%
NASDAQ100:年17%
安定重視の代償として、高リターンは諦める
デメリット4 新興国リスクを含む
【新興国の問題点】
・政治的不安定
・通貨危機リスク
・企業ガバナンスの弱さ
→ 12%とはいえ影響あり
デメリット5 日本株も含まれる
【日本の現状】
・30年間株価停滞の歴史
・少子高齢化
・5.4%も組み入れ
→ 足を引っ張る可能性
第5章 S&P500との徹底比較
5.1 パフォーマンス比較
期間 | 全世界株式 | S&P500 | 差 |
---|---|---|---|
1年 | +25% | +28% | -3% |
3年 | +45% | +52% | -7% |
5年 | +70% | +85% | -15% |
10年 | +180% | +230% | -50% |
5.2 リスク比較
【標準偏差(年率)】
全世界株式:16%
S&P500:18%
→ 全世界の方がやや安定
5.3 どっちを選ぶべき?
全世界株式が向いている人
- 投資初心者
- リスクを抑えたい
- アメリカ一極集中が不安
- 手間をかけたくない
S&P500が向いている人
- リターンを重視
- アメリカの成長を信じる
- ある程度リスクを取れる
- 為替リスクを理解している
第6章 FP視点での活用戦略
6.1 年代別の組み入れ比率
20〜30代:積極運用型
全世界株式:50%
S&P500:30%
新興国株式:20%
40〜50代:バランス型
全世界株式:70%
債券:20%
REIT:10%
60代以降:安定運用型
全世界株式:40%
債券:40%
現金:20%
6.2 新NISAでの最適な買い方
【つみたて投資枠】
月10万円:全世界株式
→ 安定的な資産形成
【成長投資枠】
一括or積立:S&P500やレバナス
→ リターン追求
6.3 iDeCoとの使い分け
制度 | 商品選択 | 理由 |
---|---|---|
新NISA | 全世界株式 | いつでも売却可能なので安定性重視 |
iDeCo | S&P500 | 長期保有前提なので成長性重視 |
第7章 よくある質問と回答
Q1:いつ買えばいい?
A:今すぐ始めて、積立投資
【ドルコスト平均法】
毎月一定額購入
→ 高い時は少なく、安い時は多く
→ 平均購入単価を下げる効果
Q2:暴落したらどうする?
A:むしろチャンス!積立継続
【過去の暴落からの回復】
リーマンショック:2年で回復
コロナショック:6ヶ月で回復
Q3:他に組み合わせるなら?
A:目的に応じて選択
【組み合わせ例】
安定重視:全世界株式70%+債券30%
成長重視:全世界株式50%+S&P500 50%
配当重視:全世界株式70%+高配当ETF30%
まとめ 全世界株式は「最適解」であって「最強」ではない
全世界株式の本質
全世界株式は「無難で堅実な選択」です。 最高のリターンは期待できませんが、大失敗もしにくい。
こんな人には最適
投資初心者:迷ったらコレ
忙しい人:ほったらかしOK
リスク回避派:安定重視
長期投資家:20年以上の運用
こんな人には不向き
高リターン狙い:S&P500やNASDAQ100
短期売買:個別株やETF
為替ヘッジ希望:国内株式
最後に 投資の王道を行く
全世界株式は、投資の教科書通りの「王道」です。
派手さはないけど、確実に資産を増やしていく。 それが全世界株式インデックスの魅力です。
迷ったら、全世界株式から始める。 これが、FPとしての結論です。
まずは少額から、新NISAで積立を始めてみませんか?
投資を始める3ステップ
1. 証券口座を開設(SBI証券、楽天証券など)
2. 新NISA口座を開設
3. eMAXIS Slim全世界株式を積立設定
月1万円から始められます。 あなたの資産形成の第一歩を、今日踏み出しましょう!